宿泊体験も好結果 伊那市への移住世帯増加

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伊那市が2014年度から取り組む移住定住施策で、2016年度に同市に移り住んだ世帯は40組(82人)に上ったことが同市のまとめで分かった。15年度に比べ3組、初年度の14年度からは13組増加。市の子育て施策をアピールする中で、30~40代の世帯が全体の65%を占める。空き家バンクの充実や「田舎暮らしモデルハウス」を使った宿泊体験も結果を出し、同市人口増進係は「順調にきている」と説明する。一方で信州の田舎暮らしに憧れを持ちつつも、仕事や地域への順応に不安を持つ声が移住希望者からは聞かれる。

自然豊かな富県新山地区にある「田舎暮らしモデルハウス」。利用料無料で最大3泊4日宿泊できる「お試し暮らし」は昨年5月に開始し、3月末までに30組が利用した。今年度も申し込みは順調だという。

大阪府枚方市の貝賀建司さん(50)は妻の順子さん、小学5年生の彩音さん、年長園児の拓斗君の家族4人でゴールデンウィークに合わせて1日~4日まで、お試し暮らしをした。

2年ほど前から小諸や大町など県内各地で短期の田舎生活を体験し、信州への移住を考えている貝賀さん夫妻。子どもが幼いうちに移住したいと考えながら、仕事を含めて今後の暮らしを考えると、まだ踏み切れないでいる。

「会社勤めなので、年齢のことも考えると転職は非常に難しいと思う。子どもが小さいので養っていかなければならないし」と建司さん。

順子さんは「地域になじむには年数が掛かると思う。子どもが幼ければ地域とも接点を持ちやすいので、退職後とかではなく、早く来たいのだけれど。しかし夫の仕事のことは考えてしまう」と話す。

同市のお試し暮らしを利用して、実際に市内へ移住したのは現在までに4組。横山勝巳さん(42)、絵美さん(39)夫妻は埼玉から移った。

勝巳さんは東京都内のIT企業勤務を経て3年ほど前に独立し、スマートフォンのアプリ開発で起業した。その頃から、自然豊かな環境で暮らしたいと考えるようになり、昨年7月と9月の2回、お試し暮らしを利用した。

インターネットを介する仕事のため「首都圏に住まなくても、どこでも働ける」と勝巳さん。今は自宅にしている伊那市街地のアパートや、近くのコワーキングスペースを利用して仕事をする。ストレスだった長時間通勤からも解放され「ほど良い田舎」の伊那の生活を気に入っている。

横山さんの場合、IT業界を対象にした県の移住体験プログラムも活用。昨年11月から5カ月間、伊那市で暮らした後に移住を正式に決めた。

「住みながらこの土地のことがリサーチできたし、市や商工関係の皆さんともつながりが持てた。いきなり移住しても、難しかった点もあると思う」と振り返る。さらに会社勤めの経験も踏まえ「都会とは違いこの地域で働くとなると職種も限られる。企業で働く人たちにとっては、そのあたりも移住する際のネックになるのでは」と話す。

市人口増進係も「今までのキャリアを生かした仕事の継続は移住の条件の一つにもなっている」と説明。今後も商工会議所をはじめ関係機関と連携し、職業紹介など対応に力を入れていく考えを示す。

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