2017年05月12日付

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伊那市美篶小学校の資料館に入る機会があった。昔の道具を使った体験行事などが紙面にもときどき登場していたので、どんな施設なのか興味があった。2階建ての建物は昭和30年代まで使われていたという旧美篶中学校の木造校舎だった▼廊下には電話機や柱時計がまだ使えそうな状態で飾ってあった。教室は展示室で、地域の歴史や民俗、文化、考古学に関わる資料のほか、農作業や山仕事の道具、機織り機などが並ぶ。道具はどれも構造を見ているだけで面白いが、手に触れ、動かして学ぶことができる点ではまさに”生きた資料館”だった▼1952年の建物だといい、取り壊しが検討された時期もあったそうだ。現在は地域の財産を守り残していくために組織された資料館運営委員会が維持管理や活用を担い、地域住民らが運営費を出してその活動を支えているという▼資料館としてこうして建物が残っているのは、古里を伝える文化財であり、子どもたちの教材として大事にしていきたいという地域の思いの表れだろうか。そう思うと、歩けばギィ、ギィっと鳴る木造校舎自体が歴史を語る資料のような気がしてきた▼同校では館内にある道具類を授業やクラブ活動にも利用している。使い方を教えるのは地域の人たちで、児童らは昔の話を聞きながら地域を知り、古里を思う心を育んでいる。資料館は子どもたちと地域をつなぐ懸け橋なのだろう。

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