2017年05月18日付

LINEで送る
Pocket

「年をとればとるほど、自然がいとおしくなるよ」。年上の誰かにそう言われた気がする。若い頃はあまり意識しなかったが、今はその通りだと思う。桜やツツジ、フジなど、季節の花が輝く一瞬が貴重だと感じるようになった。それだけに、花の名所を守る人々の努力に頭が下がる▼駒ケ根市中沢にある名所「花桃の里」では、亡き祖父から孫へハナモモの管理が引き継がれた。祖父が二十数年間、花を植えて増やしてきた場所だ。祖父の遺志を継いだ孫は、「祖父が築き上げた場所。守っていかなきゃ」と決意。今年も見事な花が大勢の人を楽しませた▼下諏訪町の桜の名所水月公園でも、親しまれてきた花見茶屋の存続が実現した。年齢などを理由に、長年運営してきた出店者が今年限りで閉店を覚悟していた。そこへ町内の男性が後継者に名乗りを上げた。「茶屋の伝統を守りつつ、若い花見客が増える工夫をしたい」と意欲的だ▼歌舞伎の世界では、親から子へと名前が引き継がれる。松本幸四郎さんは来年1月に父が名乗った「白鸚」を継ぐ。息子、孫とともに3代同時襲名だ。自分の名を息子に譲る幸四郎さんは「息子には本気なんだなという親の姿を見せている。言葉は要りません」と話す▼業績を残した先人の跡を継ぐのは大変なことだ。比較されもする。だが先人の努力を見ていたからこそ、跡を引き継ぐ覚悟や勇気が湧いてくるのだろう。

おすすめ情報

PAGE TOP