芦ノ湖のワカサギ 諏訪湖でふ化させ放流

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芦之湖漁協から諏訪湖漁協に贈られた「発眼卵」

昨年7月にワカサギが大量死し、今季はほぼ採卵できない見通しとなった諏訪湖の資源回復を願い、神奈川県足柄下郡箱根町の芦之湖漁業協同組合(福井達也組合長)が18日、諏訪湖漁業協同組合(藤森貫治組合長)にワカサギの卵約3000万粒を寄贈した。肉眼で目が確認できるまでになった「発眼卵」で、諏訪湖漁協は同日、沖合に設置した放流用の設備に入れた。2、3日でふ化した稚魚が自力で湖に入る。資源回復への大きな一歩となりそうだ。

芦ノ湖(箱根町)では、2000年ごろまで諏訪湖のワカサギの卵を購入していた。現在は自ら開発した「芦ノ湖式」と呼ばれる採卵方式でほかの湖沼に魚卵を出荷するようになったが、福井組合長(44)は「かつて長い間ワカサギの卵を販売してもらった諏訪湖への感謝の気持ちは代々受け継がれてきた」という。

諏訪湖は国内有数のワカサギの卵の供給地として全国の湖沼を支えてきた。ところが、昨年7月の大量死の影響で今年は出荷分はおろか、資源維持のために諏訪湖に放流する分も確保できていない。こうした状況を知った芦之湖漁協は「諏訪湖のワカサギが回復しなければ、魚卵を購入する全国の湖沼に影響が出る。かつての恩返しの意味も込め、何とか力になりたい」と寄贈を決めた。

同漁協は今年の採卵で芦ノ湖放流分と出荷分を確保した上で、さらに採卵が可能と見込み、譲渡することにした。9、10日に採卵した後、受精卵をふ化させるための設備で1週間ほど発達させて「発眼卵」にし、諏訪湖に運んだ。

福井組合長ら5人の手によって諏訪湖漁協事務所(諏訪市)に運び込まれた魚卵は採卵時の黄色から灰色と変色していた。約750万粒ごとに4袋に分けて運び込まれた。藤森組合長(72)よると、「発眼卵」になるのは受精卵の2割程度といい、「3000万粒のほとんどが稚魚となる。受精卵で考えれば、約1億5000万粒と考えることもでき、諏訪湖のワカサギ復活に向け、とても大きな支援をいただいた」と感謝した。しかし、諏訪湖の資源回復には「発眼卵」で5億粒程度の放流が必要といい、「今回いただいたワカサギを採卵できるようになるまで大切に守りたい」と語った。

諏訪湖上に設けられたふ化装置はポンプでくみ上げた水を装置内を循環させて放水する仕組み。ふ化した稚魚は水の流れに乗って湖に入る。

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