2017年06月05日付

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カイコを育てて繭を作り、その繭から糸を取って布を織る。中国で新石器時代(日本の縄文時代)の遺跡からその形跡が見つかっているという技術は、日本には弥生時代に稲作と同時期に伝えられたとされる。奈良時代には絹製品が税(租庸調)の一部として集められた▼国内で養蚕が本格的に行われるようになったのは、江戸時代に幕府や藩が殖産興業として力を入れてから。幕末には良質な生糸が生産されるようになり、開国と共に主要な輸出品になる。「シルク岡谷」の歩みもここから始まった▼岡谷蚕糸博物館では市内外の小中学校や保育園に「カイコ学習」を呼び掛け、希望する学校などにカイコを配っている。生態を学びながら生き物を育てる苦労や命の大切さ、製糸業の歴史や先人の知恵などさまざまなことを学んでもらうことが狙いだ▼今年も先日から春蚕の配布が始まり、市内の小学校3年生がふ化したばかりのカイコを受け取った。学芸員から「みんなに命を預けます。お父さんお母さんになったつもりで大きく育てて」と託された児童たち。「大事に育てたい」と目を輝かせていた▼多くの児童たちは桑の葉の上でうごめく幼虫に興味津々だったが、中には虫が苦手な子どももいるだろう。カイコの飼育を通じて虫嫌いも克服し、なぜ、ガ(蛾)の幼虫のイモムシが「お蚕様」と呼ばれてきたのか、実感として学ぶ機会になればすばらしい。

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