2017年06月15日付

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「あそこが、茅野市の縄文の1丁目1番地だよね」と話すのは、同市の歴史愛好家北澤俊弘さん(73)。自分の足で方々を歩き、自分の目で確かめ、埋もれた歴史を発掘して新たな見方を示すのが研究スタイル▼その北澤さんが「あそこ」と指すのは、八ケ岳の中の冷山にある黒曜石の大きな露頭のこと。縄文文化をまちづくりの一つの柱に据える茅野市にとって、現代につながる歴史の始まりこそ巨大な黒曜石の露頭だと、存在の重みを示した言葉だ▼その大きさは、バスに例えられるという。それほど巨大な露頭にもかかわらず、実際に現地に行った人に場所を尋ねても、「誰も説明できないんだよ」。そこで自分自身で行動に移した。幾度もやぶをかき分け、2年がかり9度目の探索で、ようやく現地にたどり着いた▼古里の歴史の出発点を突き止めた一方、「これは1万年の時間の空白を埋める作業だよ」と話す、この言葉も熱っぽい。黒曜石産地の霧ケ峰方面から、どの経路で茅野市内の遺跡に黒曜石を運んでいたか。その道筋を「縄文の道」と名付け、現地踏査を進めている▼広い山の中、地面に落ちている黒曜石のかけらを探し回って6年目。これまで見つけた数は32個。発見地点をたどると10キロ余りで、「縄文の道」が線になって浮かび上がる。在野ならではの研究だ。黒曜石の塊と破片が、過ぎた時間をつなぐ重しだったり、道標だったりする。

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