2017年06月16日付

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最近、十代半ばの活躍が目に付く。将棋界の藤井聡太四段、卓球界の平野美宇、伊藤美誠、張本智和各選手。当然ながら幼児のころから手ほどきを受け、頭角を現した。本人の才能はもちろんだが、指導した周囲の教育法も良かったのだろう▼親はよかれと思っても、子どもにとっては習い事は苦痛な場合もある。式亭三馬が書いた江戸時代の滑稽本「浮世風呂」には、銭湯で女児同士が「きょうはお稽古が休みで何より」と喜ぶ場面があるという。昔も今も変わらない、というのは丸子町(現上田市)出身で国立音大の教授を務めた小山章三さんだ(「合唱と教育と」)▼音大の卒業生は指導者になる人も多いが、小山さんはいつもこう言っていたそうだ。「優秀な成績で卒業した人は、大いに注意して下さい。やっと単位が取れて卒業できた人は、安心してやって下さい」▼優秀な人ほど、「こんなことも出来ないの」となりがちだ。一方、「劣等生」の先生なら、苦労する教え子の心情がよく分かる。ある面では当たっているのかもしれない。スポーツ界でも、名選手が必ずしも良いコーチになるとは限らないとされる▼小山さんは楽器指導の際、弾き方よりも先に、音に「びっくりすること」「聞きほれること」を大事にした。音に対する興味や憧れを引き出すためだ。子ども自身に興味が出てくればしめたもの。勉強やスポーツでも参考になりそうだ。

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