2017年06月19日付

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「当事者でなければ分からない」。取材相手から向けられるこの言葉がいつも心苦しい。実体験を伴わない理解の限界と、もどかしさがある。広い分野に目を配り、他人の心情を自分に引き寄せて考えるのは難しい▼例えば夫婦の別姓制度がそれ。結婚して姓が変わることで不利益、不都合が生じないようにといった理由で20年ほど前、別姓を認める法案が作られた。当時、社会で大きく話題となったが、審議で賛否が割れて法改正に至らなかった▼2年前、再び検討のそ上に載った時、ちまたでは「まだ導入されていなかったの?」との反応も多く、実は筆者もその1人だった。この時、女性の審議委員が「姓が変わる体験をしていない人ばかりの議論で、当事者の意見が反映されない」といった発言をし、印象に残った▼それでもなお、大ごととは思えずにいたが、自身が体験して複雑な気持ちを味わい、女性委員の発言がようやく胸に落ちた。このように「皆が経験していることだから」といった理由で看過されている課題や声が、社会のあらゆる場面にあるのだろう▼わが事と考えにくいのは政治も同様か。国政は「共謀罪」をめぐって大揺れだが、市井では身近な選挙への関心も薄れがちだ。今年は宮田、富士見、辰野で首長選挙を控える。この機に地元の将来にも注目してみたい。無論、政治家諸氏には当事者たる市民に心を寄せた施政を望む。

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