変わるスワリカ[3] 大学とまちづくり

LINEで送る
Pocket

JR茅野駅前の諏訪バスターミナルからバスで大学に向かう理科大生

毎朝8時30分。JR茅野駅前の諏訪バスターミナルには、諏訪東京理科大(茅野市)の学生の長い列ができる。バスを運行するアルピコ交通茅野営業所によると、駅から乗車する学生は平日平均260人。駅発午前8時35分の便を最多の115人が利用し、5台のバスに分乗して大学に向かう。超満員で走るバスは茅野市の朝の光景だ。

諏訪東京理科大の在校生は1019人(大学院生含む)。大学は学生の経済負担を軽減するため、バス会社に費用を払い、学生が年間2000円で茅野駅―大学間中心の6路線を定額利用できる通学バスパスポートを発行する。同大によると695人の学生が利用し、課外活動や日常生活にも活用しているという。

一方で、諏訪地方出身の男子学生(20)は「ほとんどの学生はアパートと大学を往復する生活。茅野を知らずに入学し、『なんもないな』と決め付け、地域の魅力を探すこともしないで、卒業していく」と話す。学生と地域との間には「壁がある」と語る。

諏訪6市町村と県、地元産業界が学校法人東京理科大(東京)を誘致し、東京理科大諏訪短大が開学したのが1990年。2002年に四年制化し、現在の諏訪東京理科大となった。大学ができてから27年が過ぎたが「学園都市」の印象は弱い。茅野市の柳平千代一市長も「学生がまちで市民と関わり合うことがなかった」と振り返る。

大学を核にしたまちづくりについては、市と大学、県が15年10月にまとめた大学のあり方に関する報告書も「都市基盤整備や学生が集うまちづくり、魅力づくりは地元自治体、大学側ともに力が及ばなかった」と総括している。

茅野市はその教訓を踏まえ、地域創生総合戦略(15~19年度)や第5次総合計画(18~27年度)で、大学を核としたまちづくりの姿勢を強く打ち出す。来年3月には、市内外の企業や人を呼び込む起業・創業・就業支援施設「コワーキングスペース」を、ターミナルがある駅前ビル・ベルビアに開設する。

理科大生の利用促進は柱の一つだ。市から整備推進事業を受託する森ビル(東京)は「学生がまちや企業、市民に接し、社会に出ていく準備をするような『働く実験室』にしていきたい」と構想する。

公立化を機に、大学の存在が地域の誇りやイメージアップにつながり、学生が集うことでまちに活気が生まれるか。地域の期待は高まっている。

おすすめ情報

PAGE TOP