心打つ平野喜久子の版画作品展 ハーモ美術館

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力強い線が印象的な平野喜久子の版画作品と、所有者の浦野尚子さん

下諏訪町のハーモ美術館で7月9日まで、夭折の版画家、平野喜久子(1938~66年)の作品展が開かれている。わずか4年の制作期間ながら、独特の線と色彩の表現で、高度経済成長期の東京の風景や、人間の内面を描き出した作品など31点を展示している。

平野は浜松市出身。東京学芸大で絵画と彫塑を学び、都内の私立小学校で教壇に立った。23歳頃から本格的に版画を始め、黒い紙に色を乗せていく陰刻多色刷りで精力的に作品を作った。その後離婚を経験し、慟哭の心模様を強い線に投影した力作を制作。作品の一つ「おおう人」は、当時、最年少で日本中国版画交流展へ出品されて才能に注目が集まったが、わずか数年後がんのため27歳で世を去った。

展示した作品は、ハーモ美術館友の会会員の浦野尚子さん(52)=岡谷市川岸上=が所有している。浦野さんと平野作品の出会いは、昨春、県外の古書店で購入した古い美術書。本に「平野喜久子」と記名してあったため、縁を感じて持ち主を調べたという。平野の実姉夫妻と知り合うことができ、版画に深く感銘を受けたことを伝えると、「それほど妹の作品を大切に思ってくれるなら」と大事に保管していた70点余りの作品を譲り受けたという。

浦野さんは「とてもすてきな作品。たくさんの人に見てほしい」と自宅やインターネットなどで紹介。ハーモ美術館での展示も打診し、今回実現した。平野作品の魅力について「色や線の素晴らしさ。版画を支えに苦しみを乗り越えた力とエネルギーを感じる。ぜひ皆さんにも感じてもらえたら」。

同館の関たか子館長も「作者の深い精神性がにじむ版画。作品を受け継いだ浦野さんの熱意にも動かされた。大勢の皆さんに鑑賞してほしい」と話している。

版画展の会場は入場無料。午前9時~午後6時。問い合わせは同館(電話0266・28・3636)へ。

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