資源回復への道 ワカサギ大量死1年-3

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ワカサギの大量死を受けて県は昨年8月、諏訪湖環境改善に係る専門家による検討の場(有識者会議)を開いた。「(大量死が起きた)7月26日とその前後に何が起きたのか」。今年3月までに4回にわたって議論を深めた。湖内全体に、溶けている酸素の量が少ない水が広がったことが影響したと考えられるものの原因の特定には至らなかった。

諏訪湖は例年、夏場に湖底で水中に溶けた酸素の量「溶存酸素量」(DO)が極端に不足する貧酸素水の塊が発生する。貧酸素水塊は酸素の消費量が供給量よりも大きいときに生じる。プランクトンの死骸や生物の排せつ物、陸から運ばれた有機物などをえさとするバクテリアが生存のために酸素を使う。

気温が高い夏場は酸素が多く溶けている表面の水と酸素が少ない湖底の水が、水温の差による密度の違いから異なる水塊の層をつくる。酸素が多い上層の水と酸素が少ない下層の水が混ざらないと、下層は貧酸素化が拡大する。県水大気環境課によると、昨年度の諏訪湖心のDO(水1リットルに含まれる酸素量)でも7~9月に湖の上層(水深50センチ)と下層(湖底から50センチ)で大きな差が出た。昨年7月6日時点で上層DOは10ミリグラム、下層は0・8ミリグラムだった。

昨年の有識者会議で同課は、ワカサギ大量死の考察を示した。7月26日の気温低下、降雨、日照がなかったことにより水温が上がらず(密度の違いが小さくなり)、酸素を含む上層と貧酸素水塊との混合が起きた。さらに植物プランクトンが減少し、湖全体のDOが低下したとした。信州大学山岳科学研究所の27日午前5時の観測データでは水深0・5、1・5、3、5メートルとも1~3ミリグラム台となり、1・5メートルが3メートルよりもDOが少ないなど水深に関係なく、全体的なDO低下につながっていた。貧酸素の目安は3ミリグラム未満とされている。

貧酸素対策で県は対応策のシミュレーションを行い、有識者会議に示した。ヒシを芽が出始めた段階で除去する面積を拡大するなど沿岸域への対応は今年度から始まったが、湖底(最深部)への対応は応急的なものも含めて行われていない。効果として釜口水門の下段ゲートからの放流は「効果なし」、そのほかは「効果大」または「効果中」と評価したが、「コストが現実的ではない」とまとめた。5月から諏訪湖漁協組合長を務める武居薫さんは3月までの有識者会議の委員を務めた。会議で最深部への対応について「(諏訪湖)全面に広げるからコストが大きくなってしまう。何らかの形で手をつけていかないと、今年も同じ(ワカサギ大量死)ようなことが起きるのでは」と訴え、応急的対応を強く求めた。

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