感謝の心で似顔絵描く 石川理恵さん

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著名人らの似顔絵作品と石川理恵さん。手にする自身の似顔絵は「最高難度でした」

サーサーッ、サッ…。伊那市西箕輪の宅幼老所「あがっといで」に鉛筆を走らせる音と和やかな会話が響く。「いいお顔していますよ」。色紙を手にお年寄りと向き合うのは箕輪町の似顔絵師石川理恵さんだ。「あらまあ、かわいい『おばあ』になったわぁ」。およそ10分後。優しい雰囲気の1枚の似顔絵が利用者を笑顔にさせていた。

伊那市生まれ。絵を描くのが大好きで、小学校時代は「少年ジャンプ」を愛読。友達と交換日記風に描く交換漫画に夢中になった。高校卒業後、漫画家を志望し都内の専門学校へ。プロのアシスタントも経験した。

似顔絵師の道を選択したのは故郷に戻ってから。長女が入園すると「特技を生かせて素材にもあふれている」と迷いはなかった。還暦や結婚など節目を祝う記念品としての需要に応えるとともに、地域のイベントへ積極的に出店。顔と名前を売り込み似顔絵の魅力を伝えた。

ネット注文も増えるが、対面で描く「席描き」をいまも大切にする。高齢者施設に出向く似顔絵ボランティアも継続することの一つだ。「披露の瞬間はドキドキですが、喜ぶ顔が見られると本当にうれしい」。技術を高めるには場数を踏むことが大事と考える。「描かせていただいて光栄です」。相手への感謝の言葉を決して忘れない。

公認似顔絵師となり、似顔絵文化の普及や後進指導も役割になった。「石川さんは私にとってヒーローですっ」(伊那市の小松幸恵さん)。かつて自身が講師を務めた講座の生徒から有望株も出てきた。輪郭や目、鼻などのパーツの配置は「ぱっと見て」描くが、その後の対話でその人の「最高の笑顔」を引き出し、作品に表現したいと思っている。「相手の方が大満足で自分自身も納得できる似顔絵を目指し、腕が動く限り描き続けていきます」

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