八ケ岳山麓に農家民宿 共存に不安の声も

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茅野市観光まちづくり協議会は、農山村の生活体験を修学旅行生や外国人に提供する「農家民宿」の募集を始める。20日発行の広報誌「広報ちの」8月号で募集し、秋以降にモニターツアーを実施。来年度から本格実施する計画だ。急速に普及する「民泊」のニーズを取り込みながら、既存の宿泊施設との共存を目指し、合意形成を図る方針。他方、宿泊施設の関係者からは「パイの奪い合いになるのでは」と心配する声が上がっている。

農家民宿の対象は農家や一般家庭、民宿、ペンションオーナーなどで、八ケ岳山麓の茅野市と富士見町、原村から募る。建物に条件はなく改修の必要もないが、旅館業法に基づく「簡易宿所営業許可」の取得が必要。協議会が申請手続きを支援するという。

農家民宿は、農業体験を条件に簡易宿所の許可を受けた住宅などを指す。住宅の空き部屋を旅行者に有料で貸し出す「民泊」に近いが、農業体験を提供する点が異なる。協議会は農家民宿で「郷土料理などの調理体験をして一緒に食べる」ことを求めており、日帰り農村体験の受け入れ家庭も合わせて募集する。

県諏訪保健福祉事務所によると、簡易宿所は諏訪地域に330施設ある。茅野市が最多で173施設。農家民宿は岡谷市、下諏訪町、原村の3施設という。

事務局の市観光まちづくり推進室が6月2日に北山地区コミュニティセンターで開いた農家民宿の説明会には、市内の移住者や農家など21人が参加し、半数から前向きな回答を得たという。当面は修学旅行生をターゲットに50施設(収容人数計250人)の農家民宿を設けたい考えだ。

推進室は今後、行政と商工業、農業、観光、財産区、開発事業者などでつくる「茅野市観光まちづくり協議会」に農家民宿に関するワーキンググループを設け、宿泊に関するルール作りなどを進める。協議会が来年設立予定の法人組織「ちの観光まちづくり推進機構(茅野版DMO)」が窓口となってあっ旋し、農家民宿の家庭に手数料を支払う仕組みを想定している。

推進室の高砂樹史室長は「旅行者は茅野の人がどんなものを食べて、どんな暮らしをしているのかを体験したい」と話す。宿泊施設の旅行者を奪うとの指摘には「客層が違う。(農村民宿といった)新しい客層の流れは止められない。やらなければ他の地域に行くだけだ。いかに共存していくかを考えなければ」と強調した。

宿泊施設の関係者は「中学校を中心に民泊のニーズは高まっていて、茅野市がそこに対応できていないのは事実」としながらも、「新しいお客さんが来るのが理想だが、今のお客さんが流れてしまっては、長年のわれわれの努力が水泡に帰す。パイを奪い合うのではないかと心配している」と語る。他の関係者も「茅野市の税収や雇用に与える効果は小さいのでは」と懐疑的に話している。

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