2017年07月26日付

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木の葉の一生を描いた絵本「葉っぱのフレディ」を知ったのは、100歳を超えて現役を貫いた医師日野原重明さんの講演がきっかけだった。簡素な文と写真による30ページ足らずの絵本。繰り返して読めば読むほど意味の深さが伝わってきた▼主人公のフレディは木のこずえに生まれた。夏に葉っぱの仲間と木陰をつくり、樹下に集う人々を喜ばせた。秋になると、個性を強調するような葉の色に染まった。そして冬。寒さの中で枝を離れて初めて大木の姿を知り、若葉に命を引き継ぐ自らの役割を知る―という物語だ▼米国の哲学者が生涯で唯一書いた絵本として知られる。内容に共鳴した日野原さんが脚本を書き、ミュージカルにした。自ら出演し、生きること、そして死ぬことの意味を問いかけた。ひたむきに生きて次の命にリレーする、という考え方も説き続けた▼その日野原さんが105歳で死去した。晩年までライフワークでもあった講演や執筆活動に力を注ぎ、生涯現役に徹した最期だったそうだ。10年ほど前だろうか。年齢を感じさせない若々しさで熱心に語りかけた松本市での講演を思い出す▼命の大切さを伝える教育に始まり、予防医学の推進、老いても積極的に社会に関わる新しい高齢者像など、提唱してきたことの重みは計り知れない。日野原さんが亡くなっても、残したメッセージは、葉っぱのフレディと同じように生き続けると思う。

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