信州風樹文庫70周年記念 小倉さん講演

LINEで送る
Pocket

その土地の風土や価値観を受け継ぐことの大切さを語る小倉さん

諏訪市信州風樹文庫の創立70周年を記念した講演会が29日、同市中洲の同文庫で開かれた。作家、映画プロデューサーで、諏訪を舞台にしたドキュメンタリー映画製作や諏訪を取り上げた本の執筆を進めている小倉美惠子さん=川崎市=が、「諏訪人―やり抜く心と風樹文庫」を演題に語った。

中洲出身の岩波茂雄が創業した岩波書店の1947年以降の発行図書を所蔵する同文庫の設立に触れ、諏訪人のやり抜く心の証しとして「素晴らしい物語があることを知った」と小倉さん。終戦翌年の46年に青年会が開いた講演会で、国文学者の藤森朋夫が岩波茂雄の郷里に岩波書店の本がそろっていないのは残念だ│と語った言葉に青年たちが突き動かされ、代表の2人が東京の同書店を訪ねて書籍の寄贈を直談判した経緯を紹介した。

一度は断られ、同書店を後にするが、諏訪で待つ仲間の顔を思い浮かべ、「このまま帰るわけにはいかない」と戻って再び頼んだところ、協力を得られることになった青年たちの熱意を強調。「諦めない心を持ち続けたことで文庫ができた」と話した。

小倉さんが生まれ育った川崎と諏訪の風土の違いも取り上げた。川崎は高度経済成長期には激しい開発の波にさらされて人口が急増し、「東京に近くて便利だから住む人がほとんどで、川崎を愛している人は極めて少ない」という。対して諏訪は「一人ひとりが諏訪のことを愛し、諏訪のことを気にしている。うらやましい」とし、川崎と諏訪は対照的であることを説明した。

その上で、「その土地の価値観を持てず、東京ではやったものを自分の土地に持ち込むことが多く、どこに行っても同じようなまちが増えている」と指摘。「これからはその土地土地で譲れないものを考えていくことが必要。諏訪は譲らないでまちをつくっている。とても大切なことだと思う」と呼び掛けた。

おすすめ情報

PAGE TOP