まちのかたち 合併から10年・3 伊那市:保育園

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「枠組みが大きくなったことで多様な意見が行き交うようになり、保育は豊かになった」

市町村合併による「新伊那市誕生」に合わせ、全市立保育園で「生きる力のある子どもを育む」と共通の保育目標を掲げて10年。14年度に園長会の会長を務めた篠田千栄子さん(60)は、保育内容の充実に手応えを感じている。

市は保育園の統廃合を進める一方、「保育の質」の向上に力を入れてきた。保育士は自主的な研修を重ね、年1回、研修の成果を発表。昨年度は各保育園でシンボルツリーを定め、遊びの中から自然への興味を広げる「がるがるっ子」の取り組みを報告した。

この4月に高遠第1保育園と統合し高遠保育園になった高遠第4保育園は昨年度、ソニー教育財団の「ソニー幼児教育支援プログラム」で奨励賞に選ばれた。白鳥孝市長は「伊那市の保育は全国的にも評価が高い」と胸を張り、市の魅力として移住・定住促進の目玉の一つに掲げている。

一方、女性の社会進出や核家族などを背景に、保育ニーズは多様化。3歳未満児保育や延長保育の希望は増え続けており、利用者の要望に応えるためには保育士確保が課題になっている。こうした状況を受け、市議会人口増推進特別委員会は1月、「保育士不足で希望する園に入園できない実態がある」と指摘。市に対して保育士確保を求める要望書を提出した。

合併に伴う事務効率化や行財政改革で、市の正規職員は合併した2005年度の832人から、昨年度は639人に削減。10年間で2割削減する目標を達成した。保育士も06年度の144人から115人に減少。同時に非正規職員の割合を高め、保育士の正規職員の比率は40%から33%に下がった。

非正規職員の割合を高める市は、学校給食の職員の非正規化も進めている。市議の1人は「合併効果を出すために職員削減は避けられないが、急すぎている印象がある」と指摘。「身分の安定しない非正規職員では人材の確保は難しい。少なくとも保育園や学校給食の現場は子どもに対する責任が伴う職場。高い資質や住民サービスを求めるのなら、正規職員の枠を増やすべきだ」と主張している。

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