2017年08月13日付

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立ち寄った大型量販店の一角に盆花のコーナーが設けられ、オミナエシやトルコギキョウなどを買い求める人々でにぎわっていた。これから盆支度をするのだろうと想像しながら眺めているうちに、ふと亡き人の顔が浮かんで心が和んだ▼13日は盆の入り。迎え火を焚いて先祖を迎える。帰省した親族も集えばさぞにぎやかだろう。上伊那地方では今夜、伝統行事「振り万灯」が各地で行われる。ひもの先に結んだわら束に火をつけ小学生らが振り回す。伝統を受け継ぐ子どもたちにとっていい経験だ▼長野市出身の元お天気キャスター倉嶋厚さんにも少年時代の思い出がある。迎え火を焚く日に母が丸茄子のおやきを作り精霊棚に供えた│とエッセーに書いている。霊を慰めるために盆棚を設け共に食事をする。〈日本人のやさしい心が表れた行事〉だと指摘する▼〈│人々は盆が近づくと、死んだ人が通れるように草を刈って盆路を作り、母親は台所で盆支度に忙しく、子供達は山から盆花を摘んできて精霊棚に供えました〉(季節しみじみ事典)。1年の節目でもあるお盆は家族のつながりを確認する機会でもあるのだろう▼暑い盛りの中にも光や風の変化に秋の気配を感じ、どこか物悲しい気にもさせられる時期でもある。今月初旬、倉嶋さんの訃報に接した。享年93歳。ああ自然は素晴らしい。そう感嘆できる文章をもっと読みたかった。惜別の夏だ。

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