2017年08月26日付

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言葉の使い方は本当に難しい。流行語になった形の「忖度」もそうだ。本来の意味とは、ニュアンスが違う形で取り上げられた。国会や記者会見の場で使われると、あたかもそういう意味のように広がっていく▼忖度は本来「他人の心を推し量る」意味の言葉で、それに「配慮する」という意味まではないそうだ。辞書編集者の神永曉さんが指摘している(「さらに悩ましい国語辞典」時事通信社)。似たような言葉に「斟酌」もあって、ますます難しい▼新聞紙面の表現も各社ごとに基準があり、時代や社会背景とともに変わっていく。例えば、「籍を入れる」は現在の戸籍制度からいえば「婚姻届を出す」。性別や容姿を強調する表現は避ける。女性を特別視する「才媛」や、子どもの「ちびっ子」表現も安易に使わないルールがある。「鳥肌が立つ」は最近、感動の意味で使用する人がいるが、その用例はまだ紙面で一般的ではない▼以前、紙面に載ったある職業表現に、読者から「呼び捨てにするのはよくない」と意見をいただいた。専門的な技能を持つ職業だと理解していたのだが、受け取り方はさまざまだと勉強になった。不快に思う人がいる限り、使い方には慎重でなければならない▼大事なのは、その言葉を読んだ相手、聞いた相手がどう感じるかだろう。日常的な会話も同じだ。話す時、書く時は受け手の気持ちを推し量る「忖度」が必要だ。

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