藤田嗣治「中庭にて」 ハーモ美術館に収蔵

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新たに収蔵した藤田嗣治の「中庭にて」(左側)と、以前からのコレクション「パリの通り)」

下諏訪町のハーモ美術館(関たか子館長)は、パリを拠点に活躍した画家、藤田嗣治(=レオナール・フジタ、1886~1968年)の油彩画「中庭にて(la Cour)」を新たに収蔵し、公開している。花の都の華やかさではなく、質素な住宅街の一角に焦点を当て、生活や暮らしの息遣いを描き出した素朴な作品。同館は「当館コンセプトの『素朴と芸術』にマッチした作品と出会うことができた。大勢の皆さんに鑑賞してもらえたら」と話している。

藤田は東京美術学校(現東京藝大)を卒業後、1913年に渡仏してモンパルナスに居を構えた。当時のモンパルナスは、パリに定住して活動する外国人芸術家の一群「エコール・ド・パリ」の中心地で、藤田も、イタリア出身のモディリアーニ、ロシア出身のシャガール、スペイン出身のピカソら美術史に名を残す多くの芸術家と交流。日本画の技法を油彩画に取り入れた独自の画風を確立した。作品は画壇の絶賛を浴び、「エコール・ド・パリ」の代表的な画家として名をはせていった。

新たに収蔵した「中庭にて」は1955年制作で大きさは縦35センチ、横27センチ。当時、藤田が女優の三益愛子さんへ贈った作品で、絵の裏側に仏語で「私の小さな妹、ミマスアイコへ。1956年のパリの想い出として。愛をこめて あなたの従兄、フジタより」の言葉が書かれている。

女性や猫を描いた作品で有名な藤田だが、風景画には画業の最初期から継続的に取り組んでおり、今回の作品からは、住宅地の質素な外観の中に芸術的な価値を見出す風景画家としての感性や魅力を味わうことができる。

同館の藤田作品は、水彩画「パリの通り」に続いて2作品目。関館長は「かねてから油彩画をコレクションしたかったが、なかなか館のコンセプトと合う作品と出会えなかった。今回めぐり合えて本当に光栄。来館する皆さんに、作品を通して『エコール・ド・パリ』時代の空気感や、生活の息遣いを感じてもらえたら」と話している。

年中無休。入館料は大人1000円、小中高校生500円。問い合わせは同館(電話0266・28・3636)へ。

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