民間薬に光 伊那市の矢澤さんが自費出版

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「民間薬を知る~ふるさと薬草ものがたり」を自費出版した矢澤さん

医薬技術コンサルタントで薬剤師の矢澤久豊さん(79)=伊那市手良野口=が、「民間薬を知る~ふるさと薬草ものがたり」を自費出版した。医療や医療制度の充実、市販薬の普及により、使われなくなり、忘れられつつある民間薬に光を当てた一冊で、矢澤さんは「歴史があり、伝承文化でもある民間薬を伝え残したい」と話す。

A5判、240ページ。生まれ育った伊那を中心に薬草を調べ、3年かけて伝承を収集。地元の古老から口伝や体験を聞き取り、民間薬書や古文書から先人の知恵を集めた。

矢澤さんは大手製薬会社で工場長や研究所長を務め、1997年に定年退職。大学の非常勤講師や製薬会社の技術コンサルタントを経て、2001年に帰郷した。古里に戻ってみると、土手草の中にいっぱいあったはずの薬草が見られなくなり、分布自体が変わってしまっていることに気付いたという。

「民間薬は伝承。煎じて飲むということが、人から人、親から子、孫へと伝えられてきた」と話す矢澤さん。薬草は薬用や食用、観賞用に使われるだけでなく、古典文学や民話、落語にも登場し、年中行事や祭りを盛り上げる文化だったと強調する。書籍を通して「植生が変わって薬草は激減し、それを伝承してきた人も少なくなっている。私たちは先人が暮らしを共にしてきた薬草を知り、次代に伝えていく義務があるのではないか」と投げ掛けている。

本体価格1500円。伊那市荒井の小林書店で取り扱っている。

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