2017年09月13日付

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夕方からの雨が一気に激しくなり、濁流が河岸をみるみる削ってゆく。夢中でシャッターを切っていると、1分前に自分がいた場所が崩れ落ちた。かつてこのヒヤッとする体験をして、常に周囲の危険を予測して行動する大切さを学んだ▼地域の防災訓練の取材は記者にとっても災害に備えた訓練となる。被災現場でどう取材活動をするか。その状況を想像しながら会場を駆け回る。その意気がいささか前のめりだったのかもしれない。「恒例の行事」だという甘えもあったかと省みる▼富士見高原病院で訓練の様子を撮影していると、現場の職員に激しい口調で排除された。写真を撮られては困る人がいたのかと思ったが、聞けば報道の規制も訓練の一つだった。ニセの記者もいるという▼訓練では患者を受け入れて、けがの状態を3重のチェックで確認。程度によっては玄関先で帰す患者もいる。患者の情報把握、治療に加えて遺体の管理や、取り乱す遺族へのケアもあった。東日本大震災で検視にあたった同院医師の経験が生きている▼災害現場は情報、人が錯綜して混乱を極める。その中では、誰かの勝手な振る舞いが大切な対処を遅らせ、さらなる混乱、被害を招きかねない。日頃から本番さながらの訓練を重ねて身で覚え込む必要がある。被災者への配慮を怠り、シャッターチャンスばかりを追う自分を恥じ、重い教訓を得た今年の訓練だった。

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