2017年09月25日付

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2008年にセルビアから独立宣言をしたコソボ。北部の街ミトロビッツァに「対立の橋」と呼ばれる橋があったそうだ。下諏訪町出身の指揮者、柳澤寿男さん(46)=東京都=が本紙統合版に連載しているエッセーを読んで知った▼旧ユーゴスラビア崩壊後、内戦状態が続いたコソボ。ミトロビッツァでは、紛争で敵対関係にあったアルバニア人とセルビア人が「対立の橋」を隔ててにらみ合い、衝突もたびたびあった。この地で両民族合同の楽団によるコンサートを実現させたのが柳澤さんだ▼若き日に指揮者を目指して欧州に渡った柳澤さんは、「欧州の火薬庫」と呼ばれたバルカン諸国、特に旧ユーゴの国々で経験を積んだ。コソボ・フィルハーモニー交響楽団に客演したのをきっかけに、民族共栄のための「バルカン室内管弦楽団」を07年に設立した▼そのわずか2年後、ミトロビッツァでの演奏会を成功させるのだが、それは「奇跡のコンサート」とまで言われた。その後、同楽団は日本を含む各国で公演。ことしは設立から10年の節目で、今月19日にはオーストリア・ウィーンで記念のコンサートを開いている▼世界平和という思いを一つに希望の調べを奏で続け、バルカン和平の象徴的存在になった。朝鮮半島の情勢が緊迫化している今、「世界の隣人との共存共栄」の実現に向けて諦めずに活動する柳澤さんの姿が一段と輝きを増して見える。

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