「天国のオヤジありがとう」 秋宮四「斧入れ」川島さん

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2回目の斧入れで綱がきれいに切断され、木落しが始まった

2回目の斧入れで綱がきれいに切断され、木落しが始まった

「バシュ」。山出し直前、秋宮四を固定する1本の綱に川島泰啓さん(44)=岡谷市山下町=が2回目の斧(よき)を入れると、御柱が急坂を一気に下った。「オヤジありがとう」。その瞬間、川島さんは1998年の御柱祭で切断者を務めた父親の故・泰武さんを思い、天に向かって感謝した。

追い掛け綱の切断で始まる木落し。切断者の役目は大変な名誉だが、その分責任も重い。50~60代の年長者が務めることが多いが、川島さんは今回40代前半で抜擢された。「自分にはまだ早いのではないか」との迷いもあったが、尊敬する父が過去に務め上げた役目には強い憧れがあった。

斧は父が使ったものを使うことにした。前回、同じ役を果たした脇坂清さん(73)=同市山手町=に刃先を研いでもらい、柄も川島さんの手に適した太さに改めてもらった。自宅では、重機で張った綱を切る練習を重ねた。

9日は午前2時半に起床。追掛綱係として奉仕しながら秋宮四は山から集落へと進み、木落し坂に到着。御柱の固定も終わり、多くの氏子の協力で晴れ舞台が整えられた。

観衆が見つめる中、斧を横に持ち、深く一礼して綱の前に立った川島さん。綱目掛けて振り下ろした1回目は目標地点からずれてほぼ無傷の状態で残ったが、気を取り直した2回目に見事切断した。

「自分の力のなさを補ってくれたのが仲間のおかげ。それでも1回で切れなかったのが今の自分の力量。2回目は父の力も借りてようやく切断できた。自分はまだまだってことですよね」。手の震えが止まらないほど緊張した斧入れを「自分らしい」と振り返り「(天国の)オヤジはきっと笑っているんじゃないですか」。リラックスした笑顔がようやく戻った。

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