2017年10月26日付

LINEで送る
Pocket

ステージ上で「カンカラ」と軽快な金属音が鳴り始めると、客席の男性がぽかんとした表情で音の出元に注目している。それもそのはず。きらびやかな衣装を着た奏者が打ち鳴らしているのはスコップなのだもの▼舘岡屏風山さんが「津軽すこっぷ三味線」を考案したのは32年前。青森県内で経営するスナックで、来店客が酔った勢いでほうきを持ち出し、ギター演奏のまねをしたことに着想した。大の大人が真面目な顔つきでスコップを抱えて熱演する、間の抜けた感じが観客の笑いを誘う▼ところが、スコップに弦が張られているかと見まごう巧みな手の動きに、笑いは感心に変わる。舘岡さんは「手にしたその瞬間から、幼児もお年寄りも演奏できる理想的な楽器」と言う。無論、誰もが楽しめるが、音と技で見せるには練習が必要で、打ち方は30種以上と案外奥深い▼今や独自の芸として確立し、弟子を取り、全国に愛好者が広がるに至ったのは、芸の面白さだけでなく、舘岡さんの姿が「何でも一心に取り組めば形を成せる」という勇気と励みを与えてくれるからではないか。「唯一必要なのは恥じらいを捨てることだべ」▼自分の殻を破る一歩ならこの時期、ハロウィーンイベントもいい。仮装して別人を演じる体験は勇気がいるが快感だとか。変身への気合いの入れようによっては周囲から一目置かれもする。何事も「本気」がカギらしい。

おすすめ情報

PAGE TOP