2017年10月27日付

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50代後半以上の人なら、チョコレートのCMで「大きいことはいいことだ」と真っ赤なタキシードで指揮をする変なおじさんの姿を覚えているだろう。作曲者の名前は知らなくても童謡の「一年生になったら」はみんな知っている▼さらに寅さん映画「男はつらいよ」の音楽、クラシック音楽を身近にした音楽番組「オーケストラがやって来た」の進行役。いずれも作曲家で指揮者だった山本直純さん(1932~2002年)の業績の一端だ▼もう20年以上も前のことだが、当時のSKF(サイトウ・キネン・フェスティバル)の取材に携わった時、同業者の一人が「小澤征爾と山本直純ではぜんぜん違う」と話していた。世界的な指揮者とテレビタレントの指揮者とではレベルが違うという意味だ▼笑って聞き流したが、「オーケストラがやって来た」が好きだっただけにその言葉に違和感を持った。古い話を思い出したのは、音楽ライターの柴田克彦さんが著した「山本直純と小澤征爾」(朝日新書)がきっかけだ。面白いノンフィクションだった▼小澤さんが「自分より才能は上。まったくかなわない」と語り、多くの人が「天才」と評価する山本直純。23歳でヨーロッパに渡る小澤さんに、山本さんがかけた言葉「音楽のピラミッドがあるとしたら、オレはその底辺を広げる仕事をするから、お前は頂点を目指せ」。山本直純という人のすごさがわかる。

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