2017年11月9日付

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「話したくない。帰れ」と冷ややかな接遇は、新聞記者の仕事によくあること。拒む理由を知りたくても取り付く島もない。こういう相手への対処を見つけるのが記者の一歩といえようか▼初対面での先制攻撃に何度も痛い目を見て覚えたのは、塩辛い対応には直接ぶつからず、まずは柔らかく受けること。相手の振る舞いは過去の嫌な経験からかもしれないし、こちらの出方、懐の深さをうかがっている場合も多分にある。逆に当たりは優しくても心は許さないという人もいる▼対人の苦労はどの仕事にもつきものだが、相手が意図的ならまだしも高齢だったり、認知症を患っていたりすると対処は難しい。医療や福祉の現場ではお年寄りの高圧的な態度に手を焼くことが多いそうだ▼人の手を借りねばならない心苦しさ、情けなさを常に感じながら生きるのはつらい。「こんな自分も若い頃は」とかつての社会的な地位や経験が唯一、心の支えで防御になるのだろうか。その心模様は複雑で容易に理解できまい。スタッフは日々、応接に悩んでいる▼人に拒絶されるのは苦痛だ。立場や境遇、性格、趣味とあらゆる面から相手を知ろうと懸命になる。その苦労を経て、かたくなな心が解けた時の喜びはひとしお。傷ついても諦めないその先に、仕事の面白さや人間の真の絆があるように思う。一方で、嫌われない老いの努力も必要だと自戒している。

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