2017年11月17日付

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少し混み合っていた東京の電車内。初老の男性がおもむろに立ち上がり、つり革を握っていた20代と思われる男性に席を譲った。若者は軽く頭を下げて謝意を示し、ゆっくりと腰を下ろした▼何だか不思議な気持ちでこの光景を眺めていると、若者のバッグにぶら下がる赤い札が目に入った。赤地に白色の十字とハートのデザイン。後で調べ、外見では分かりにくいハンディのある人が、援助や配慮を求めるための「ヘルプマーク」だと知った。東京都が2012年に作成。その後に各地の自治体が導入し、全国に広がっているという▼12年の東京都議会で、当時都議だった山加朱美さんが提案したのがきっかけ。自身も人工関節を使う山加さんは「外見で障がい者と分からない人は、日常生活でさまざまな不便を強いられている」と訴えた。内部障害や難病、妊娠初期など、さまざまな人が活用しており、都では在庫切れになっているほどだ▼ヘルプマークではないが、県は13年から同趣旨の「信州あいサポート運動」を推進。南箕輪村や伊那市は、やはり外見では分かりにくい知的障がいや発達障がいのある子ども向けに「お出かけ用ワッペン」を作っている▼いずれも認知度の向上が課題らしいが、こうしたマークや取り組みを知ることで、誰もが等しく生きることのできる社会に向けて想像力を働かせ、思いやりや手助けの輪が少しでも広がればと願う。

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