人手不足 景気回復の足かせにも

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人手不足が一段と深刻化してきた。有効求人倍率が近年にない高水準で推移し、労働市場もひっ迫している。仕事があるのに業務をこなす人材がいないため、事業継続が出来なくなった“人手不足倒産”も増えている。少子高齢化社会を迎え、今後も生産年齢人口の減少が続く。働き手として期待される女性や高齢者の就業を促す社会の仕組みづくりが求められる。

2018年度新卒者の就職戦線は、人手不足を背景に空前の売り手市場となった。

就職情報サイトを運営するリクルートキャリアの調査では、10月時点で内定を得た大学生のうち、企業に辞退を申し出た「内定辞退率」が64・6%に上った。企業側が早めに新卒確保に乗り出したことが影響したとみられるが、このしわ寄せを中小企業がもろにかぶる結果となった。採用に見通しが立たない事業所も多いという。

新規高卒者の求人数も大幅に増加している。長野労働局がまとめた9月末現在の県内求人数は6259人で、前年同期に比べ932人増加した。求人倍率は1・88倍と高く、若年労働者の奪い合いの様相を呈している。

ここに来て、人手不足が業績に悪影響を及ぼすケースも目立つ。大手コンビニの中には、一部店舗で営業時間を短縮する方向で検討していることが分かった。全国で560店舗のラーメン店を運営する会社は、人手不足などによる人件費の上昇で約1割の店舗を来年3月までに閉店すると公表した。

人員を増やしたくても人が集まらない。その分だけ従業員の仕事量が増え、残業が常態化する。だが、これに見合うだけの賃金が上がらないと辞める人が出て来て、さらに人手不足が深刻化する―という悪循環に陥ってしまう。介護現場や運送・サービス業などでは事業に支障をきたすことへの懸念が強まっている。景気回復の足かせにもなりかねない。

働き手を確保するため、女性の就労機会を後押しする「働き方改革」は不可欠だ。中でも、妻の就労意欲を損ね、働く時間を抑制するのにつながる配偶者控除の見直しを急ぐ必要がある。高齢者の就労対策も改善の余地がまだあるのではないか。定年の引き上げなどで、意欲があれば、生涯現役で働くことが出来る社会の実現に向けた取り組みも欠かせない。

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