上伊那の高齢ドライバー 免許返納が過去最多

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上伊那地方で昨年、運転免許証を自ら返納したのは355人で、少なくとも過去10年で最多を更新したことが、伊那署と駒ケ根署のまとめで分かった。ほとんどが65歳以上の高齢者で、身体機能の低下を自覚したり、運転の必要がなくなったことなどが理由だという。ただ、高齢ドライバーに占める「返納率」は1%以下。高齢者が関わる事故が増加傾向にある中、自治体では自主返納を促す取り組みも進んでいる。
 県警によると、昨年上伊那地方で発生した人身事故563件のうち、高齢ドライバーがより過失の大きい「第一当事者」となったのは159件で28%を占める。割合は年々増えており、高齢化により高齢ドライバーが増えていることが要因とみられる。

高齢者による事故を減らすため、県警は1998年に運転免許証の自主返納制度を導入。免許更新時の高齢者講習や認知機能検査などをきっかけに返納する高齢者が増えているといい、上伊那地方では10年前の46人から約8倍に増加している。

自治体でも自主返納を後押しする取り組みが始まっている。辰野町、箕輪町、南箕輪村、中川村は自主返納者に自治体内の巡回バスやデマンド(乗り合い)タクシーの運賃を無料にしたり割り引く制度を導入。宮田村は車を持たない80歳以上の一人暮らし高齢者に対し、福祉タクシー券の交付枚数を増やし自主返納を促している。

伊那市は今年度から、65歳以上か、病気や身体の障害を理由に自主返納し、運転経歴証明書を取得した市民を対象に、手続き費用の補助金として3000円を交付する。さらに運転経歴証明書の提示で市地域公共交通協議会が市内で運行する路線バスなどの運賃を割り引く制度も検討している。駒ケ根市は、策定中の地域公共交通網形成計画に支援策を盛り込む予定だ。

高齢ドライバーの事故抑制に向け免許証の自主返納への期待は高まるが、地方は公共交通が乏しく、生活の足としての機能を果たしにくいのが課題。飯島町は「十分な自動車の代替案があるわけではなく、無責任に自主返納を勧めることはできない」とし、現時点で支援策の検討も行っていないという。

辰野町は、公共交通の利用を促そうと、町営バスやデマンドタクシー利用者に町内登録店の買い物優待サービス券を発行するなど、間接的な支援も行っている。伊那市の担当者は「自主返納後の足の確保が最大の課題。公共交通の充実をはじめ、できるだけ不自由のない生活を送れる支援策を総合的に検討する必要がある」としている。

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