緑色蛍光繭 宮坂製糸所で繰糸 世界初

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初めて量産化された遺伝子組み換え緑色蛍光繭と生糸(左)=青色LEDをあて、青色を除去するフィルター越しに撮影。青いのは通常の繭

岡谷市郷田の岡谷蚕糸博物館併設の宮坂製糸所(宮坂照彦社長)で、群馬県前橋市内の養蚕農家が民間レベルでは世界で初めて量産化した遺伝子組み換えによる緑色蛍光繭から糸を取る繰糸作業が行われている。同社で生産された「緑色蛍光シルク」は全量が京都の織物業者に納入され、インテリア製品として商品化される。遺伝子組み換え蛍光シルクの商業ベースでの生産も今回が世界初。同社の高橋耕一専務(51)は、「高付加価値化で養蚕農家から製糸工場へとつながる蚕糸業の活性化につながる」と期待を込めている。

遺伝子組み換えカイコを開発した国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の飯塚哲也上級研究員、高橋専務、高林千幸岡谷蚕糸博物館長が11日、同館で発表した。

飯塚上級研究員によると、遺伝子組み換えカイコは2000年に開発。これまでに蛍光シルクや細胞接着機能のある絹糸、通常のシルクより強度のあるクモ糸シルクなどが開発されてきた。

遺伝子組み換えカイコの飼育は、これまで農研機構や群馬県蚕糸技術センターの研究室レベルで行われてきたが、今年初めて前橋市の農家で10月上旬から飼育し、176キロの繭を生産することに成功した。今回生産された蛍光繭は、オワンクラゲが持つ緑色蛍 光たんぱく質を注入して遺伝子組み換えを行った繭。繭は自然光では淡い緑色、青色LEDの光を当てるとより緑色に蛍光する。

蛍光シルクの繭から糸を取るには、蛍光たんぱく質を変質させないために通常の繭よりも低温(65度以下)で煮繭・繰糸する技術が必要。このため国内に4カ所ある製糸工場のうち、低温煮繭の技術のある宮坂製糸所で繰糸を行うことになったという。11月下旬から自動繰糸機を使って作業を進めており、来年1月までに約24キロの生糸を生産する予定だ。

蛍光シルクの生産について高橋専務は、「先細りの蚕糸業にあって高付加価値は、カイコの新たな可能性を感じさせてくれる」と期待。高林館長は、「遺伝子組み換え繭の繰糸は宮坂製糸所でしかできない特化した『ものづくり』といえる。市内で遺伝子組み換え繭の生産ができれば、繭から糸、さらに製品化まで岡谷で行うことが可能で、岡谷ならではのブランド化も期待できる」としている。

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