2017年12月14日付

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噴き出す湯気の中に、蒸し上がるもち米のいい香りが漂う。その香りに誘われるように区内の人たちが公民館に集まってきた。厳しくなってきた冷え込みが、湯気を一段と白く見せている▼一般家庭では臼や杵を使った餅つきが少なくなっているそうだ。家庭用の小型の電動餅つき機が普及していることもある。食べたい時に市販の餅が購入できるようになったからかもしれない。臼と杵の餅つきには、知らぬ間に「昔ながらの」という言葉がついてくるようになった▼「いい音になってきたね」。臼の周りで見守る人たちが笑顔になった。ここからが子どもたちの出番で、順番に餅つきを体験する。つく場所がなかなか定まらず、臼の縁に杵を何度もぶつける子ども、杵を餅に取られて振り上げることができなくなった子どももいて笑いを誘う。杵を持つ子ども本人もまた笑っている▼餅つきには人を集め、みんなを笑顔にする不思議な力があるように思う。大人数が集う食の行事になるだけに衛生面への注意が必要にはなるが、自治会や子供会の行事として今も人気があるのは、その不思議な力があるからだろう▼臼の周りでは、面倒な段取りから始まり、もち米の蒸し上がりの見極めに至るまで次の世代に引き継がれていく。核家族化が進み、家庭では伝えていくことが難しくなっていることもある。こうした世代間交流がいつまでも続いてほしいと願う。

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