「信州の縄文土器」を県宝に 県教委が諮問方針

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県教育委員会は、顔面や動物の装飾といった共通の特徴がある県内出土の縄文土器150点余を「信州の縄文土器」として県宝に指定するよう、1月下旬に開く県文化財保護審議会に諮問する方針を決めた。八ケ岳西麓を中心とした諏訪地域の土器が約半数を占める。県教委は埋蔵文化財の再評価と活用を進めるとともに、中部山岳地域で花開いた縄文文化を国内外に発信していきたい考えだ

県教委によると、県宝230件のうち考古資料は24件。縄文土器単体では、富士見町出土の「動物装飾付釣手土器」と飯山市同の「魚形線刻画土器」の2点だけ。県内市町村では高度経済成長期以後の大規模開発で遺跡発掘調査が進んだが、膨大な出土品や調査成果が十分に共有・活用されていない現状がある。

県教委は、2010年に審議会委員から「縄文土器の広域指定」の提案を受け、市町村を対象に調査を進めていた。全県的な考古資料の広域指定は前例がないという。

指定を目指すのは、立体的装飾が発達した縄文時代中期(約5500~4500年前)を中心に、女性など人の顔を表現したような「顔面装飾」や、ヘビやカエル、鳥や獣が躍動する「動物装飾」、精緻で抽象的な文様や造形に大きな特徴を持つ土器。中部山岳地域特有の「豪壮、雄大、華麗」な土器群となる。

いずれも市町村所有の土器で、今回は諏訪、塩尻、木曽、上伊那、佐久の18市町村前後に及ぶ見込み。このうち、諏訪地域では下諏訪町を除く5市町村の土器が候補に挙がっていて、全体の約48%を占める。県教委は市町村の意向を聞いた上で審議会に諮問。答申は9月ごろの予定という。今後も調査を続け、追加指定も検討する。

県教委文化財・生涯学習課の担当者は「県宝になれば公開や活用が進む。埋蔵文化財の再評価につながれば。『信州の縄文土器』を広く発信したい」と語る。

県文化財保護審議会委員で前県考古学会長の会田進さん(70)=原村=は「縄文人は武器を持たず自然と共生し、地球と人に優しい人々だった。その文化のメルクマール(指標、微表)が縄文土器で、諏訪地域を中心に長野県は『縄文のみやこ』であった。世界的な文化遺産として後世に伝え、残していく価値がある」と話している。

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