2016年04月21日付

LINEで送る
Pocket

今でも記憶に新しい東日本大震災と、下水内郡栄村を襲った県北部地震は、2日連続で起きた。震源から離れた南信地域では大きな揺れはなかったが、連日の地震にしばらくの間、「次はどこに」と気持ちが落ち着かなかった▼作家の井伏鱒二は東京で関東大震災を体験した。古い下宿屋にいて被災し、近くの野球場に避難した。続く余震の中で「びっくりさせられすぎたためか、それとも恐怖のためか、食欲がちっともなかった。船に酔ったときのようだった」。著書の「荻窪風土記」で回想する▼地震が続く中での被災者の心労は察するに余りある。時を置かずに起きる強い揺れに対し、少しでも安全で、安らげる場に身を置きたいというのは、当然の思いだろう。さまざまな理由で避難所生活が難しいとき、車の中での生活は大きな選択肢となる▼熊本県で相次ぐ地震で、車中泊をする被災者の健康状態が心配されているという。狭くて自由がきかない車の中で寝泊まりするなど、長く過ごすことで、できた血の塊が血管を詰まらせる。熊本市ではそのエコノミークラス症候群の死者が確認された▼車中泊の人だけでなく、避難所に身を寄せる被災者たちの心と体の負担は大きいはずで、健康への懸念が高まる。最初の地震発生から1週間。次第にライフラインが復旧し、全国からの支援も本格化してきた。みんなの力で難局を乗り切ってと願ってやまない。

おすすめ情報

PAGE TOP