2018年2月13日付

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気象庁には「石を投げれば信州人に当たる」と言われた時代があったそうだ。気象庁の職員に長野県出身者が多かったという指摘で、お天気キャスターの森田正光さんが自らの経験を重ねつつ、著書で紹介している▼言われてみると、思いつく人は多い。作家の新田次郎は諏訪市生まれだし、気象エッセイストとして活躍した倉嶋厚さんは長野市出身で、ともに気象庁OB。元中央気象台長の藤原咲平も郷里は諏訪だ。こうした人たちの存在が後に続く若者に影響を与えたと、森田さんは先輩から説明を受けた▼確かに一つの理由としては分かるが、それだけではない。豊かな自然に恵まれた地に生まれ、時には厳しさに直面もする。大自然を身近にするとともに、決してあらがえない存在と受け止める。そんな精神性もあるのではないか▼で、御神渡りである。5年ぶりに諏訪湖に現れた姿を見ようと湖畔が連日、にぎわっている。県外者も目立つ一方で、住民のいかに多いことか。これほどまでに引きつけられるのは、自然への特別な思いを持つ信州人ゆえでもあるのだろう▼きのう、湖を訪れた。拝観式後にさらにせり上がった氷は、小雪に覆われ、少しずつ緩んでいるように見えた。氷の筋が大きくなっていく様子はむろん素晴らしいけれど、解けて、豊かな水をたたえる湖に戻る光景もまたいい。厳しい冬を越え、穏やかに春を迎える気持ちになれる。

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