小平の努力 新時代への扉開ける

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「やっと自信を持って、1000メートルも私の距離だと思える」。昨年12月、米ソルトレークシティーで行われたワールドカップ(W杯)第4戦。念願だった世界新記録を打ち立てた小平は、確かな手応えを得た。揺るぎない自信を持って臨んだ3度目の五輪で見事に銀メダルを獲得。その美しさは黄金の輝きにも見劣りしない。

今や押しも押されもせぬ日本のエースに成長した小平だが、その道のりは平坦ではなかった。初出場した2010年バンクーバー五輪の団体追い抜きで銀メダルを獲得。しかしその影で、個人種目は2大会連続で表彰台に届かなかった。期待を一身に背負った14年ソチ五輪の500メートルも5位。「自分にとってベストの滑りができたけど、結果がついてこなかった」。世界との差を痛感した。

それでも「世界で一番スケートが好き」と自負するスプリンターは、決して下を向かなかった。「私はすごく強い選手ではない。私の強みは自ら追求し続けること」。ソチ五輪後には強国オランダへ2年間の単身留学。国内に拠点を戻してからもオランダや米国流のエクササイズに古武術を組み合わせて自己流のメニューをつくり上げるなど、自ら求め、自ら学び、試行錯誤を重ねる日々。生活のすべてをスケートにささげるうちに大きく開いていた世界との差は埋まり、振り返れば自身が先頭を走っていた。

小平は言う。「ソチの時はいい成績を出さなければいけないというプレッシャーもあったが、今は迷いがない。オリンピックは自分のすべてを表現する舞台」。メダルを取りたい、ライバルに勝ちたい―。そうした感情を一切排除し、あくまでも自分自身を磨き上げることだけに集中。孤高の道を歩み続けた努力家の覚悟が、新時代への扉をこじ開けて見せた。

わずかの差で頂点を逃したことに悔しさもあるだろうが、挑戦は道半ば。次は国内外のレースで24連勝中の500メートル。日本女子悲願の金メダル獲得へ本命視されてきた種目だ。「ゴール間近で失速する選手も多いが、私はそこを駆け抜ける。爽快感を感じてほしい」。そう話していた最速の女王がどんな滑りを見せてくれるのか。期待は尽きない。

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