早期運用に期待 自動運転車の実証実験終了

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直売所に出荷する花を車内に積み込む生産者

国土交通省は15日、伊那市長谷の道の駅「南アルプスむら長谷」を拠点にした公道での自動運転車の実証実験を終了した。中山間地の移動や物流の手段確保を視野に、道幅が狭い住宅地から交通量の多い幹線道路、勾配がきつい坂道とバラエティに富んだコースで10日から実施。市民モニターの乗車のほか、人と荷物を同時に運ぶ「貨客混載」も実験し、関係者は「さまざまな可能性が得られた」と手応えをつかむ。実用化に向けては一般交通と混在することから法規制の壁や費用対効果など課題もある一方で、高齢化が進む地域住民からは早期運用を期待する声も挙がった。

コース上に 設けられた停留所。道の駅の農産物直売所に出荷する花を抱え、地元の中山守子さんは実験車両のバスを待った。到着すると、車内に設けられた 荷物箱に花を積み込み、バスを見送った。

80代になった今も普段は自分で車を運転して出荷するが、道の駅の駐車場は混雑することも多く、細心の注意を払いながら運転している。「自動運転はすごいが(実用化は)まだ夢の話と感じる。ただ本当に通れば便利になる」。出荷仲間には、運転免許がなく日常の足は家族頼みの人もいるという。

道の駅の直売所を運営するファームはせの羽場政光さん(73)も「直売所に出荷する生産者は60、70代が中心。高齢化が進んで生産自体が厳しくなる中で、出荷の省力化が図れれば負担は軽くなる」と話す。

今回の実験では、住宅が並ぶ集落内の狭い市道も使用。実験車両をはじめシステムを開発する先進モビリティ(東京)の現場責任者江尻賢治さん(32)は、自動運転による「ドア・ツー・ドア」の戸別輸送につながる技術結果も得られたと述べ、さらに「氷点下の日が続いたが機器に問題はなく、寒冷地走行にも耐えられることが分かった。急勾配の停止動作もできた」と長谷での成果を語る。

市は実用化に向けて来年度以降も取り組みを進める方針で、飯島智企画部長は「幹線はバスで枝葉の路線は小型車両を走らせるなど、いろいろな組み合わせも考えられる。長谷の実験をベースに、各地域に合った仕様を検討していきたい。規制など社会の受け入れ体制は課題だが、技術自体は一定のレベルまで来ている」と話す。

国交省は実験の検証結果を取りまとめ、地元関係者らで構成する地域実験協議会を今年度中にも開いて報告する。

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