2016年04月25日付

LINEで送る
Pocket

乳がんを患った歌人の河野裕子さんが、手術前日に詠んだ歌がある。〈明日になれば切られてしまふこの胸を覚えておかむ湯にうつ伏せり〉。せめて自分だけは覚えておこうという一言が切ないと、夫の永田和宏さんが回想している▼自身も歌人である永田さんが著した妻の闘病記録「歌に私は泣くだらう」(新調社)には、不安や葛藤を真っすぐにつづった河野さんの作品が収録されている。体にメスを入れられるのは誰しも怖いことだが、胸を切ることへの精神的負担の大きさが伝わってくる▼がんは高齢者ほど発生しやすく、日本は世界有数の「がん大国」になった。一方で、食生活の変化に伴って乳がんや前立腺がん、大腸がんなど欧米型のがんも増えている。乳がんや子宮がんは比較的若い年齢でかかるとされ、日本では乳がんが急増しているという▼諏訪市内のホテル・旅館のおかみらでつくる「すわ姫会」が乳がんの早期診断、治療の大切さを訴える「ピンクリボン運動」に賛同し、加盟各施設で、乳がん患者らが利用しやすい環境整備やサービスの提供に力を入れている▼「ピンクリボンのお宿ネットワーク」にも加盟しており、脱衣所に衝立を設けたり、入浴時にタオルを2枚用意したりといった取り組みを足並みをそろえて行うそうだ。「勇気を持って諏訪の地に旅行していただけるきっかけになれば」。白鳥和美会長ら会員の願いである。

おすすめ情報

PAGE TOP