2018年3月3日付

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人が運転する必要のない、文字通り自ら動く乗り物となった「自動車」。形こそ車ではあるが、それは動く道路と言ったほうがふさわしい―。神林長平さんの小説「魂の駆動体」は自動運転が実用化された近未来から物語が始まる▼人間は事故を起こす可能性があるとして運転を禁じられ、車を所有しているのは一部のコレクターだけ…。こんなSFの世界がすぐに訪れるとは思わないが、自動運転の技術開発は急速に進んでいる。政府は2020年までに、限定区域での実用化を目指すという▼〈その時代背景を無視してこの世に出てくる技術などというのは考えられない。造られる物は、その時代を映す鏡だよ〉。先の小説に印象深い言葉がある。人工知能(AI)という新技術が可能にする自動運転にも画期的価値を求める社会の要請があるのだろうか▼過疎や高齢化の進む中山間地域での交通手段の確保を目指し、国交省は昨年秋から全国各地で自動運転の実証実験を始めた。伊那市長谷でも先月、小型バスが公道を走行した。「ハンドルが勝手に動いて不思議だった」。市民モニターの小学生も驚いた様子だった▼関連技術の開発やインフラ、法制度の整備、新しい交通ルールづくりなど、本格導入に向けて課題はまだ多いという。社会の様相まで一変させる可能性のある自動運転。人と車との関わりも変わるだろう。今後どう進むのか目が離せない。

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