2018年3月9日付

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「何人も、児童に対し、虐待をしてはならない」。児童虐待の禁止を規定した児童虐待防止法第3条である。至極当然のようなことをわざわざ法律でうたわなければならない。それほど事態は深刻と言える▼痛ましい事件が後を絶たない。東京都目黒区では5歳の女児が父親から虐待され死亡した。女児の体には虐待とみられる複数の古い傷があり、日常的に虐待を受けていた可能性もあるという。まだ5歳の子である。どれほど怖かったかと思うと胸が締め付けられる▼この事件では児童相談所の対応が後手に回ったとの見方もある。一家は以前にも虐待の疑いで児童福祉法に基づく指導措置が取られていたというのである。なぜ事件を防ぐことができなかったのか。一方で、こうした事件が起きるたびに批判の矛先は児相に向かうが、それで事足りるのか▼児童虐待は「現代社会を鋭く照射する」(川崎二三彦著「児童虐待」、岩波新書)という。地域コミュニティーの崩壊や核家族化に伴う子育ての孤立化、雇用不安や貧困による親のストレス増大など複雑多様な背景があり、社会の在りようから考えていかなければ根本的な解決にはつながらないと同書は指摘する▼児相だけに責任を押し付けたり、家族の問題だと矮小化したりせず、社会全体の問題として向き合う姿勢が求められよう。あらためて言うまでもない。子どもは「社会の宝」なのだから。

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