2018年3月12日付

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お花見給食を楽しみ、学校行事は地域の人たちと盛り上がった。仲の良さが自慢でした―。笑って泣いて。子どもたちの声が響く学校を想像する。壁がなくなり床が歪んだ教室や、壊れた屋外ステージに残る宮沢賢治の詩や自分たちの未来を描いた壁画との落差に、胸が締め付けられた▼東日本大震災で津波に襲われ、児童74人と教職員10人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市の大川小学校。昨年11月に訪れた際、6年生だった二女みずほさんを亡くした元中学校教諭佐藤敏郎さんが、当時の様子を話してくれた▼どんなに寒くて怖くて、痛かっただろうか。なぜ校庭にとどまり裏山に逃げなかったのか。当たり前に続くはずだった日常。救えた命、救うべき命、救ってほしかった多くの命―。当時を振り返る言葉一つ一つから、無念さが伝わる▼佐藤さんは「小さな命を考える会」の代表として大川小の悲劇を伝える。あの体験を繰り返し話すことは辛い作業だが、震災を風化させず、事実に向き合うことが未来の命を守ると考えるからだ▼当時5年生で奇跡的に助かった只野哲也さん=高校3年=が、昨年末から伝承活動に加わった。佐藤さんの支えで、東松島市で被災した中高生らも「語り部」の活動を続ける。あれから7年。佐藤さんらの願いが、若者に受け継がれ始めている。災害は他人事ではない。こうした思いに、しっかりと心を向けたい。

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