2018年03月16日付

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鯉を甘めに煮付けた「うま煮」。よく折り詰めに入っていて子どもの頃から好きだったが、なにせ骨が多い。祖父は「口を閉じて噛みなさい」と言っていた。口を閉じると歯の動きが小刻みになり、小骨が喉に入りにくい。昔の知恵である▼そんなことを思い出したのは、岡谷市のボーイスカウトが先月、生きた鯉をさばいた記事を本紙で読んだからだ。諏訪湖でとれた体長40センチもの鯉だ。大人の指導を受けながら、子どもたちは出刃包丁を入れた▼伝統料理である鯉のうま煮などを作り、「諏訪人」であることを自覚しようという趣旨の教室だった。小学6年生の男子は、「かわいそうだと思ったが、貴重な経験になった」と話していた。諏訪湖の恵みであり、生きている命をいただくことを実感したようだ▼ハリウッド化粧品を創業した牛山清人さん(諏訪市出身)の妻で、女性の近代美容を追究したメイ牛山さん。著書で「昔は顔にも県民性があった」と言っている(「メイ牛山のきれいで長生き」)。なぜなら「同じような物を食べているからですね。それは、その土地の食べ物を大切にしていたということなんですよ」▼15年ほど前だが、メイさんは地元の食事を大事にしているのは沖縄くらいだ、と嘆いていた。しかし、伝統料理を伝えようと頑張っている人は今も各地域にいる。岡谷の子どもたちもきっと将来鯉の味を大切にしてくれるに違いない。

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