2018年03月17日付

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「働」は中国舶来の漢字ではなく、日本で独自につくられた「国字」だ。言語学者の金田一春彦さんによると、中国で「働く」というときには「勤」「労」「務」などの漢字をあてている(「日本語は京の秋空」スタジオ・シップ)▼金田一さんは漢字から受ける印象を自著に書き留めている。「勤」「労」「務」の文字には、「義務的で仕方なく」といったニュアンスがただよう。反対に「働く」には「人がいきいきと動いている、という語感がある」と。お国柄の違いも踏まえての考察だろう▼高度経済成長、バブル崩壊と失われた20年を経て、働く人の意識も働き方も多様化している。仕事と生活の調和を図る「ワークライフバランス」という言葉が定着する一方、過労死・過労自殺で今も多くの人の命が失われている。違法な超過勤務も減る気配がない▼人がいきいきと動けるようになるだろうか。安倍晋三首相が掲げる「働き方改革」である。政府は今国会に関連法案の提出を目指すとしているが、労働時間調査を巡って不適切データ問題が浮上し、雲行きが怪しくなっている。与野党の攻防は激しさを増しそうだ▼金田一さんは先のコラムで「いそしむ」という言葉にも思いを寄せている。いそしむには働きながら働くことに喜びを見いだしているニュアンスがあると。働く人が仕事にいそしめる環境を実現する。そんな働き方改革であってほしい。

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