2016年04月27日付

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軍手の上から革の手袋、腕足の関節にはサポーター、肩に重りの入ったベスト、黄色の眼鏡に耳栓―。お年寄りの身体を体感するにはこれだけの小道具が必要だそうだ▼この大変さが日常の高齢世代にとって、昨今の暮らしは便利に感じられるだろうか。世の中は人が深海や宇宙を探索できる時代。なのに自分のお金を出し入れしたり、文書のコピーですら「操作が難しくて機械が使えない」との声をしばしば聞く▼かくいう筆者も携帯電話をスマートフォンに替えた時、画面の操作に慣れず、かけるつもりのない人に電話がかかってしまったり、受けた通話を切れなかったり。「とんでもないものを持ってしまった」と途方に暮れた。そう恥を人に明かすと「実は自分も…」と返ってきたりする▼そんな原始派には近ごろ、スーパーのレジさえ難関だ。店員が「お金はこちらに」と自動精算機を指す。支払う際はただでさえもたつくと焦るのに、お金の入れ口さえ分からない機械を前に汗が噴き出た。これが、財布を開くのも難儀なお年寄りならさぞ切なかろう▼こうした体験をするにつけ、最近の機器はサービスを提供、管理する側のコストや負担の削減が目的で、必ずしも消費者の利便に配慮したものではないと思える。あれもこれもと機能盛りだくさんになるばかりでなく、単純で簡素、ボタン一つで誰もが操れるような技術の進化だって望まれている。

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