派遣前訓練を大幅改定 JICA駒ケ根

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国際協力機構(JICA)駒ケ根青年海外協力隊訓練所(駒ケ根市)は、新年度第1次隊から青年海外協力隊派遣前訓練の内容を改め、隊員候補生が同市の各種団体が行う事業に参加して運営を体験する「実践講座」を導入する。受け入れ先として市内の市民グループや福祉施設、公民館などが協力。活動を通じて海外の赴任先で必要なコミュニケーション力を養い、課題解決の能力を高める。

訓練内容の大幅な改定は、訓練期間を65日間から現在の70日間に延長した2013年度以来5年ぶり。実践講座には市民交流の促進や地域活性化の目的も含まれている。

具体的には、候補生が▽地域活性化▽生涯学習▽生活支援―の各種事業を行う市内の8団体に分散し、各団体の目的に沿った事業の立案、実行、評価を行う。これまでも候補生が学校などに赴き、先方が望む内容のボランティア活動をする「所外活動」はあったが、新年度からは各団体と事業を進めることで、市民との関わりがより深くなる。

実践講座では、同市の地域おこし協力隊員とJICA候補生が共同で、中心市街地の活性化に向けた活動などを実施するほか、市内の生活支援コーディネーターと住民向けの寝たきり予防の啓発活動を行う。

年4回実施する70日間の派遣前訓練のうち、計32時間程度を同講座に充てる計画。講座では毎隊次ごと評価会を開き、事業の進ちょく状況をまとめた報告書を次隊の候補生に引き継ぎ、事業自体は継続させる。訓練期間の63%(262時間)を占める語学訓練の日程は変更しない。

講座導入の背景には、都会暮らしで人づきあいが稀有な若い隊員などの場合、海外の赴任先で現地人とのコミュニケーションに苦慮するケースもあることから、JICAや訓練の管理業務を受託する公益社団法人青年海外協力協会(JOCA)が訓練内容改定の検討を続けていた。

JOCA統括責任者の安部晋弘さんは「隊員の知識は豊富だが、知識だけで赴任させるのは不十分という判断になった。ボランティアは人と人の円滑な関係から育まれる活動。コミュニケーション力の高さはボランティア推進の大きな要素になる」と話す。

一方、駒ケ根訓練所は1979年開設以来、来年で40周年になる。昨夏に市が開いた地方創生シンポジウムでJOCAの雄谷良成理事長が「(地域の活性化も含め)候補生が街に出て地域に貢献しよう」と強く主張したことが、実践講座導入の後押しになった。

駒ケ根訓練所の清水勉所長も「訓練生が市内で実践的に活動することで協力隊事業への理解が進み、市民の皆さんに訓練所を身近に感じてもらえればうれしい」と期待。候補生には「本番の練習だと思って励んでほしい。海外の赴任先では、必ずしも善意の提案が受け入れられるとは限らない。互いに意見を交わし、相手の主張に耳を傾けて考えるプロセスも学んでほしい」と話した。

4月6日には新年度1次隊の198人が入所予定。実践訓練は同月14日から始まる。

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