戦前の諏訪の日常 故横内勝司さん写真展

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戦前にプロや一部のアマチュア写真家が使っていたガラス乾板のカメラで多くのスナップ写真を撮影した横内勝司さん(1902~36年)の作品展が、岡谷市の岡谷蚕糸博物館併設の宮坂製糸所で開かれている。昭和初期の諏訪、松本地方の庶民の暮らしを豊かな表情とともにとらえた作品が並ぶ。7月末まで。

展示作品は写真家の石田道行さん(54)=安曇野市=が現存する約1000点の中から11点を選んだ。

ガラス乾板は感光材を塗った薄いガラス板で、カメラにセットして撮影する。石田さんによると、日本では明治中期頃に広がり始めたが、当時はまだ外国製のカメラばかりで高価なため「写真といえば、写真館で撮影する記念写真」という考えが一般的だったという。

横内さんは松本町(現松本市)の豪農の長男として生まれ、高等小学校を卒業後、家業を継いだ。25歳頃にカメラを手にし、日常を切り取る「スナップ写真」を数多く撮影したが、33歳の若さで亡くなった。

会場には糸車で糸をつぐむ高齢の女性の姿や釜口水門ができる前の諏訪湖の様子、学校の行き帰りの子どもたちの笑顔をとらえた作品などが並ぶ。糸車を操る作業風景を逆光で撮影し、影で表現した作品は農家の夜の情景を浮かび上がらせる。当時の釜口水門辺りの写真では、諏訪湖上に浮く泥舟の上で作業したり、橋の上を歩いたり、走ったり、自転車に乗ったりするさまざまな場面がある。

石田さんは「スナップ写真という概念が一般化するのはフィルムカメラが登場した戦後以降であり、この時代のスナップは貴重」と指摘。「当時のアマチュア写真家がなぜここまで素晴らしい感性を持ち合わせていたのか、大変驚く。ぜひ大勢の方に見に来てほしい」と話していた。

期間中に展示換えを行う予定。蚕糸博物館の入館料(大人500円)で見学できる。問い合わせは同館(電話0266・23・3489)へ。

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