2018年3月25日付

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イソップ寓話の「北風と太陽」は、旅人の服を脱がせる力比べの物語。北風は強風を吹き付けるが旅人は服をしっかり押さえるばかり。今度は太陽が暖かく照らすと、旅人は暑くなって服を脱いでしまう▼子どもの頃は力の意味を狭くしか捉えられず、太陽が無理やりでなく、旅人に自ら服を脱がしたのは自分の力で勝ったと言えるのだろうかと、違和感を持っていた。でも、その点にこそ教訓があり、人は強行的な態度や手段には心を閉ざし、人を動かすには相手の気持ちを酌んだ寛容さが力になるのだと、大人になって理解できた気がする▼先日、パレスチナ問題に関する講演を聞いた。諏訪市在住で東大名誉教授の板垣雄三さんが、1947年に国連総会がパレスチナ分割決議を採択した歴史を解説し、「迫害されたユダヤ人がイスラエルという植民国家をつくるのはいいことだと、自分たちの迫害の後始末としてパレスチナの人々を犠牲にした」と語った▼NPO法人パレスチナ子どものキャンペーン(東京)事務局長の田中好子さんは、パレスチナ自治区ガザ地区は人や物の出入りが厳しく制限された状況が続いていることを報告。「皆さんに関心を持ってほしい」と呼び掛けた▼パレスチナ問題も、狭義の力では明るい道筋から遠ざかってしまうと教えられる。無力ながら、田中さんの言葉通り関心を持つことで、太陽のような力への一歩にしたい。

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