2018年04月11日付

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あそこの桜が咲いた。あそこの桜はまだか―と、日本ではこの時季、桜の話題で持ちきりになるが、こんなに早い開花はいつ以来だろう。入学式に梅ではなく桜の花が咲いていたのは、記憶をたどっても思い出せないほど遠い昔のことに思える▼日本人にとって桜の花は特別だ。満開の桜の下で花をめでながら宴を楽しむ「花見」は日本独特の風習だと思う。全国各地には幾多の桜の名所があり、花の時季には花見をメーンにしたバスツアーが盛んに組まれている▼しかし桜も人と同じで高齢化が進み、全国の桜の名所が危機に瀕しているという。河津桜で知られ、桜が年間300億円とも言われる経済効果を生むという静岡県河津町は、堤防に桜が植栽されており、河川法の規制によって植え替えができず、代替わりが極めて困難な状況になっているという▼天下第一の桜と称される伊那市高遠城址公園は、散り際に赤さを増すタカトオコヒガンザクラで知られるが、園内の桜は老木になりつつある。しかし史跡であるがために土をいじることができず、こちらも代替わりは容易でない。このままでは数十年後には消えてしまうかもしれない運命だ▼人の命を守るための決まり、貴重な歴史を残すための決まりごと。大切なことは理解できるのだが、桜の花は多くの人が楽しみにしている。人の命も歴史も守りつつ、桜を守っていく良い手立てはないものだろうか。

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