農作業中の事故防止 愛用トラクターで啓発

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終戦後の農地開拓で愛用したトラクターで事故防止をPR

富士見町南原山の建築会社会長、笠原桂さん(89)は終戦後の農地開拓で愛用したトラクターを手入れし、県道沿線に飾って農作業中の事故防止の呼び掛けを始めた。思い出深い車体に手作りの人形を乗せ、傍らにはレトロな警察官の人形も立たせて注意を喚起。笠原さんの遊び心がこもった光景が往来の人たちの注目を集め、笑みを誘っている。

笠原さんは15歳の時に満州開拓団を守る義勇軍に志願し、旧満州(中国東北部)に渡った。現地で訓練中に終戦を迎えて苦しい避難所生活を経て翌年、帰国した。郷里に戻った義勇軍と開拓団員の多くは現在の富士見町南原山で、原野を切り開いて住居と農地を作ることから再出発を余儀なくされた。

食料増産の国策の下、笠原さんは開拓組合を立ち上げて農業を推し進め、1949年には酪農を開始。61年、4人の仲間と「黎明機械利用組合」を創設した。展示したトラクターはこの時に導入した1号機。欧米で主流のマッセイ・ファンガーソン社製で、「買った時は本当にうれしくてさぁ」と笠原さん。「どんなに寒い冬でも予熱なしで一発でエンジンがかかった、すごいヤツ。このエンブレムがいいんだよな」と苦労を共にした車体をなでる。

長い間、車庫に眠っていたが昨年冬、親戚の自動車修理工場で修復、塗装をし直してもらい、雄姿をよみがえらせた。事故防止のPRは、地元の農業仲間を事故で失った悲しみから思い立ったという。

笠原さんは「町内でも農機具による死亡事故は何件か起きているし、全国的にも痛ましいニュースを耳にする。このトラクターを見て安全意識を高めてもらえたら」と願いを込めている。

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