2018年5月13日付

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「弥生時代は父系社会で進歩の社会。一方、母系社会の縄文時代は、平等、調和、持続の社会と言える」。縄文研究でも知られる建築家の上田篤さんの講演を聞いたのは5年ほど前になるが、独自の縄文論は今なお心に刻まれている▼上田さんは、1万年の長きにわたって栄えた縄文時代を、女性的で優しい文明と定義。男の猛々しさより女のしなやかさを、益荒男ぶりより手弱女ぶりを、力より知恵を尊んだ―とし、「縄文は夫が妻のもとに通う妻問婚を基本とする母系制社会だった」と述べた▼”縄文王国”とも呼ばれる茅野市で開かれたシンポジウムでの講演。「今世界中が父性原理の競争社会になっているが、経済と軍事は進歩一辺倒では困る。車と同じようにアクセルとブレーキが必要であり、父性原理、母性原理の両方が必要だ」と来場者に訴えた▼考古学の専門家とはまた違った見地からの話を聞きながら、そのとき頭に浮かんだのは、縄文人が作り出した土偶。成人の女性、特に妊婦とみられる像が多いことはよく知られているが、それは母系社会の象徴でもあったのだろうか―などと想像をかき立てられた▼「もう一度、縄文時代の母系社会を見直し、八ケ岳山麓の地から世界に発信してはどうか」と提言して講演を締めくくった上田さん。お母さんたちが活躍した縄文時代は現代のモデルになるのだろうかと、「母の日」に当たって考えた。

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