2018年5月24日付

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駒ケ根市中沢にある市民俗資料館。かつて中沢小学校だった木造校舎に入るとすぐ左のガラスケースに、古いフラスコやビーカーが並ぶ。戦時中、秘密裏に化学兵器や特殊爆弾などの研究開発を行った旧陸軍登戸研究所の実験器具だ▼国は終戦とともに研究所の存在を歴史から消そうとしたが、地元赤穂高校平和ゼミナールの生徒たちにより明らかに。1989年からの調査で、研究所が終戦間際に同市などへ疎開し学校や寺社を拠点にしていたことを数々の証言や資料で裏付け話題になった。実験器具もその一つだ▼今月13日、平和ゼミや地元の関係者らが「登戸研究所調査研究会」を発足させた。終戦から73年。証言を集めて間近にあった戦争の事実を後世に伝える最後の機会。市民の力で調査の輪を広げたい―との強い思いがにじむ▼当時の平和ゼミ代表、北原いづみさんの担任だった野口次郎さん(88)は現在、満蒙開拓平和記念館(下伊那郡阿智村)の案内ボランティア。発足式では「記念館ができたからこそ歴史を多くの人に知ってもらい、新たな証言も得られた」と、研究成果を示す資料館の設置も訴えた▼足元の歴史に目を向けることが、地域を改めて知るきっかけになるかもしれない。研究会は6月10日午後2時から、市民参加による市民俗資料館の現地調査を行う。問い合わせは事務局の市立博物館(電話0265・83・1135)へ。

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